コロナ禍を境に、環境変化を受けて、国や地方自治体が中小企業向けに展開する補助金は増えました。
コロナウイルスの蔓延が比較的収束した現在も、要件を変え、頑張る中小企業のために多くの補助金が展開されています。
補助金の申請には、事業計画の提出やその後の報告などの作業が発生しますが、国や地方自治体から70%以上が補助されるものも多くあります。
新規事業や事業拡大、生産性向上などを背景に一定の投資をするのであれば、補助金を活用を考えることをお薦めします。
今回は、補助金活用のメリット、今後使用できる代表的な補助金とその内容についてご紹介していきたいと思います!
補助金活用のメリット・デメリット

補助金活用のメリット:高い補助率
補助金を活用する最大のメリットは、使用した経費の一部が補助対象となることです。
全額補助といった補助金はほぼありませんが、50%~80%程度を補助率とする補助金は多く存在します。
そのため、結果的に、投資に対する自社からの持ち出しを20%~50%に抑えることができ、その分を将来に向けた投資に回すことができます。
補助金活用のデメリット:申請から報告にかかる工数
補助金活用にあたってのデメリットは、申請から報告、入金までに発生する煩雑な作業です。
補助金は、全ての人がすぐにもらえるものではありません。
申請にあたっては、事業計画書の作成、提出が必須ですし、その他、決算書や法人概況説明書などの資料の提出も求められます。
また、提出し、採択された後には、使用した経費の領収書や見積もり書を規定通りにまとめ、提出するといった作業が必要になります。
これらの作業に一定の工数が割かれますし、従業員が少ない企業様では、自社で全てを実施できないといった声も聞かれます。
補助金活用のポイント

自社の出費を抑え、事業拡大や新規事業の立ち上げが可能な補助金ですが、活用にあたってはどのようなポイントを押さえておけば良いのでしょうか?
ポイント1:要件が合致する補助金を選択する
補助金と一言で言っても、たくさんの種類があります。
基本的には、同一事業で複数の補助金の利用はできないものが多いため、どの補助金を使用したら良いか、吟味する必要があります。
具体的に押さえていくポイントは下記の通りです。
① 補助金の目的確認
各補助金によって、目的が異なります。
「何のための補助金か」を確認し、自社の方向性に合うかを確認しましょう。
例えば、販促拡大に使用できる補助金ですと、小規模持続化補助金がありますし、思い切った新規事業への取り組みには、事業再構築補助金を活用できます。
一方、何か新しいものを製造する、販売するシステムをつくるということであれば、ものづくり補助金がありますし、その他にも生産性向上に向けた設備投資に対する補助金もあります。
目的が全く違う補助金に応募しようとすると、当然ながら採択率が下がりますし、要件を満たさないことも多々あります。
まずは、自社の投資の目的を明らかにし、どの補助金に申請するのが良いか確認しましょう。
②要件の確認
申請したい補助金が決まりましたら、自社が申請要件を満たすかチェックしましょう。
補助金には比較的細かく要件が設定されています。
補助金によって要件は異なりますが、一般的に下記のような点が要件になります。
- 従業員数
- コロナ禍の売上減少
- 最低限の設備投資金額
- 使用できる経費項目
従業員数は、業種によって要件が異なりますし、使用経費項目も補助金の目的によって大きく異なります。
自社がそもそも補助金に応募できるかどうか、公募要領を見て確認しましょう。
③スケジュールの確認
次に押さえておきたいのが、スケジュールです。
申請期限がいつか、採択結果発表日がいつ頃か は必ず確認しましょう。
特に補助金は、採択され、交付決定後に使用した経費が補助金の対象になり、それ以前に使用したものは補助金として支給されないものがほとんどです。(事業再構築補助金のみ、一定期間の事前着手分が補助対象経費として認められます)
事業を開始しようと思っている時期が、補助金の採択決定日より前になっている場合は、使用する経費の一部は補助対象経費として申請できないことがあります。
補助金のスケジュールと事業スケジュールを両輪で考えて、申請するかどうかを決めましょう。
ポイント2:申請までの段取りを整える
使用する補助金が決まったら、申請までの具体的段取りを立てましょう。
①申請サポートサービスを利用するか否かを決める
補助金申請には、事業計画書の作成や必要資料の用意など、資料作成から細かな資料の用意が必要になります。
もちろん、自社でやり切ることもできますが、人手不足が顕著な企業では、日々の仕事をこなしながら補助金のサポートまでをやり切るのは難しいという企業様も多いでしょう。
昨今は、補助金の事業計画書の作成、申請サポートまでを支援するコンサル会社も多くありますので、外部の力を借りるのも手ではあります。
外部の支援を受けるメリットは、事業計画のコンサルを受けることもできますので、事業の膨らませ方や補助金の活用に関して、自社では考えられていなかった部分についても提案を受けることができます。
自社のリソースとコンサル支援を受けるメリットを掛け合わせて、外部の支援を受けるかどうかを検討してみましょう。

②申請に向けたスケジュールを立てる
補助金には申請期限があります。
申請日時までに申請ができないと、アウトです。
また、補助金申請には、事業計画書の作成だけでなく必要書類の添付や財務情報の入力などを含め2時間程度かかるものもあります。
また、申請時に間違いや変更点が発生するということもありますので、時間に余裕を持った申請が必要です。
申請期限に向けて、
- 事業計画書の作成をいつまでに終わらせるか
- 必要書類をいつまでに揃えるか
- 具体的に申請画面の入力はいつ実施するか
少なくともこの3点は、決めておくようにしましょう。
経営に活用できる補助金

では、具体的に補助金にはどのようなものがあるのでしょうか?
補助金は、国や地方自治体が展開するものも含めると、数えきれないほどありますが、ここでは国が展開する代表的な補助金についてご紹介します。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、経済産業省が運営する補助金です。
もともとは、コロナ禍で大きく売上減少した事業を再構築する事業者を応援する補助金として始まりましたが、2023年度はコロナウイルスが収束に向かっていることから、物価高騰による影響を受けている企業、思い切った事業転換で大きく事業を成長させたい企業に向けた補助金に舵を切って補助金運営がされています。
事業再構築補助金の目的
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、ウィズコロナ・ポストコロナの環境下で事業転換を通じた思い切った事業再構築を行う中小企業を支援することで、日本経済の構造転換を促す。
補助金の対象者
日本に本社がある中小企業です。
中小企業の定義は業種によって異なりますので、下記を参考にしてください。

引用)事業再構築補助金 公募要領 https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo.pdf
対象者には、その他にも細かい設定があります。
例えば、親会社が議決権の50%超を有する子会社が存在する場合、親会社と子会社は同一法人とみなし、いずれか1社のみでの申請しか認められないこともありますので、詳しくは公募要領を確認してみてください。
申請期限
申請期限は、年に4回設定されています。
全てが公表されてはいませんが、第11回事業再構築補助金の申請期限はまだ発表されていませんが、例年のスケジュールから考えると、直近では2023年9月末になりそうです。
その他気をつけること
事業再構築補助金には、成長枠、グリーン成長枠、産業構造転換枠など様々な枠があります。
枠によって、目的や内容、経費申請できる金額も異なりますので、自社にどの枠が一番当てはまるかを確認してください。
適切な枠を選択することで、採択率も高まります。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上、サービス開発等に向けた設備投資にかかる経費を支援する補助金です。
ものづくり補助金の目的と概要
ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が複数年にわたり直面している制度変更に対応するために取り組む、革新的サービス開発、試作品開発、生産プロセス等の改善を行い、生産性を向上させるための設備投資をサポートする補助金です。
ものづくり補助金の概要
ものづくり補助金には、複数の枠が設定されております。
- 通常枠
製品、サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資を支援
最大補助金額:1,250万円 - 回復型賃上げ・雇用拡大枠
業況が厳しい中、賃上げ・雇用拡大に取り組む事業者に向けた、製品、サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資を支援
最大補助金額:1,250万円 - デジタル枠
DX(デジタルトランスフォーメーション)に資する製品、サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資を支援
最大補助金額:1,250万円 - グリーン枠
温室効果ガスの排出削減に資する取り組みに対して、温室ガスの排出削減に関する製品、サービス開発または生産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資を支援
最大補助金学:4,000万円
(類型が複数あるため、確認が必要) - グローバル市場開拓枠
海外事業の拡大・強化等を目的とした「製品・サービス開発」又は「生産プロセス・サービス提供方法の改善」に必要な設備・システム投資等を支援
①海外直接投資類型、②海外市場開拓(JAPAN ブランド)類型、③インバウンド市場開拓類型、④海外事業者との共同事業類型
のいずれかに合致するもの
ものづくり補助金の対象企業
ものづくり補助金の対象者は、中小企業者(組合関連以外、組合、法人関連)です。
詳しくは下記の表をご覧ください。
<中小企業者(組合関連以外)>

<中小企業者(組合・法人関連)>

※引用:ものづくり・商業・サービス補助金事務局 公募要領
ものづくり補助金の締め切り
ものづくり補助金の締め切りは複数回あります。
次回は、2023年7月28日 17:00までです。
その他気をつけるべきこと
ものづくり補助金は、設備投資をすることが条件となっています。
少なくとも、50万円(税抜)の設備投資をすることが、申請の要件です。
そのため、設備投資をしない広告宣伝費だけ、外注費だけ等の事業は対象になりませんので、ご注意ください。
小規模持続化補助金
小規模持続化補助金は、全国商工会連合会が運営する補助金です。
主に、販促費に向けた経費が対象となり、事業再構築補助金やものづくり補助金よりは最大補助経費が少額になります。
小規模持続化補助金の目的と概要
小規模持続化補助金は、小規模事業者や一定要件を満たす特定非営利かつどう法人が、取り組む販路開拓等の経費の一部を補助することで、地域の雇用や産業を支える小規模紙業者等の生産性向上と持続発展を図ることを目的とした補助金です。
内容としては、販路開拓の取り組みや顧客の獲得に向けた商品の改良、開発、販路開拓等と併せて行う業務効率化支援をするための補助金です。
小規模持続化補助金の概要
小規模持続化補助金には、複数枠があり、枠によって目的が異なります。
- 通常枠:販促拡大に向けた費用を対象に50万円を補助上限として申請できるものです
- 賃金引き上げ枠:補助事業完了後に事業場内最低賃金が申請時の地域別最低賃金より+30円以上であることを条件に、最大200万円を補助
- 卒業枠:補助事業終了時点において、常時使用する従業員の数が小規模事業者として定義する従業員を超えていることを条件に、最大200万円を補助
参考)小規模事業者として定義する従業員の数
商業・サービス業(宿泊・娯楽業を除く) 6名以上
サービス業のうち宿泊業・娯楽業 21名以上
製造業その他 21名以上 - 後継者支援枠
申請時に「アトツギ甲子園」のファイナリスト及び準ファイナリストになった事業者であることを条件に、最大200万円を補助を受けることができます。
まとめ:補助金を活用して、事業計画を前に進めよう!

今回は、補助金活用のメリットデメリット、具体的に使用できる補助金を紹介しました。
新しい事業へのチャレンジや生産性向上を考えている事業者の方にとっては、補助金の活用は考えてみる価値有りです。
弊社、Eureka Consultingでは、補助金の要項を満たしているかなど、初回のご相談を無料で受け付けています。
まずは、お気軽に何の補助金が使えそうか、自社で活用ができそうかなどご相談ください。

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